私の芭蕉布研究

沖縄の芭蕉布と出逢ったのは1998年、東京・六本木で開催された「八重山・竹富町の織物」展のオープニングの際である。当時、東京で仕事をしていた、大自然を感じさせる芭蕉布の手仕事の世界と、自分の慌ただしい大都会での生活とのギャップが大きく、強く印象に残っている。また、芭蕉布の光沢に気づいたとき、私の故郷ベルギーのフランダース地方の亜麻布(リネン)を思い出した。その光沢だけでなく、現地の人々の生活に根ざした長い歴史があり、そんな植物繊維から作られた織物に生まれて初めて魅力を感じた。亜麻布についての知識は少しだけしかなかったが、展示会で解説された「バナナの木の繊維」を使った手織りの芭蕉布のことは、私にとって全く未知の世界であった。長い時間と根気のいる手作業でしか作れないこの芭蕉布に対する複雑な思いが、沖縄に移住するきっかけとなり、私の芭蕉布研究の契機となった様な気がする。