ベルギー・フランダース地方のリネン(亜麻)布について

フランダース地方について

フランダース地方は、日本語でフランドル地方とも呼ばれ、ベルギー王国の北部、オランダ語圏の地域である。英語ではFlanders(フランデルス)、オランダ語ではVlaanderen(ヴラーンデレン)と発音する。ベルギー王国は、1830年にワロン(フランス語圏)地域とフランダース(オランダ語圏)地域が合併し誕生した比較的若い国である。フランダース地方は1830年以前から存在し、南オランダの地域として長い歴史を持っているが、西ヨーロッパの複雑な歴史の中で、フランス、スペイン、オーストリアなどに占領された時代もある。美術界では、ベルギー王国が建国される前に、当時、南オランダ人であったフランダース人の油絵画家の「フランドル派」が有名であ

 

フランダース地方の亜麻に関する本と亜麻博物館

西フランデレン州(Provincie West-Vlaanderen)のコルトレイク(Kortrijk)にあったベルギー国立亜麻博物館の館長ベルト・デウィルド(Bert Dewilde1925-2020)氏はフランダース地方における亜麻の起源と歴史について、20年間集めたさまざまな文献・道具・絵・考古学的資料を集め整理し、1984年にオランダ語の書籍20 eeuwen vlas in Vlaanderen」〔フランダース地方における亜麻の2000年の歴史〕を出版した。これは439ページのオランダ語の部厚い本で、3年後の1987年に「Flax in Flanders throughout the centuries」というタイトルでその英語訳(216ページ)が出た。

本書籍は紀元以前から1980年代までの発展、フランダース地方の亜麻(リネン)の物語を紹介している。絵や写真、詩などの資料をもとに、種子蒔きから収穫までの栽培道具とその使い方を図解し、時系例で伝えている。亜麻の手仕事が老若男女を問わず、いかに過酷な労働を強いられたか、いかにそれがフランダース地方の豊かな生活基盤となったか、そして19世紀末から20世紀初頭にかけての機械工業がこの亜麻産業に終止符を打ったことなどを紹介している。一方、国立亜麻博物館では主に、亜麻の栽培から収穫までのリネン布の製造工程を、本物の衣服を着て本物の道具を手に持っていた等身大の人形を使い26シーンで描いていた。その亜麻博物館は、1982年~2012年、コルトレイク市の古い亜麻農場にあったが、現在では、「Texture」という別の建物に移っており、そこで亜麻の科学的な面も見せながら、道具や絵のみが展示されている。

さらに読む:

Vlas Blomme社の作成した日本語での記事「フランドル地方、コルトレイクのリネンの歴史